社会福祉法人 旭福祉会

保育教諭の仕事

保育教諭ってどんな仕事?

保育教諭が担う役割として大きく分けると、「社会的な役割」と「仕事的な役割」があります。また保育教諭としての資質も大切です。 社会的な役割とは、保育士の仕事が社会にどのように貢献しているかということです。また仕事的な役割とは、世間一般が保育教諭に対しての認識として「子どもを預かり保育をする」という仕事内容に関して担う役割です。資質というものは成長の中で身に付いたスキルです。

○保育士の社会的な役割とは?

保育士に求められている社会的な役割は、近年特に大きくなっている現状にあります。

「保育士不足」「待機児童」の解消と「社会全体を支える」役割

特に昨今では、「保育士不足」や「待機児童」の問題が、日本全体の社会問題として世間に認知されています。保育教諭が保育施設で働くということは、今まで以上に社会を助けるという意味合いが強くなっていると言えるでしょう。特に近年のコロナ禍においては、ソーシャルワーカーとして休園することなく働き続け、就労を支えるために子どもたちの預かりをしてきました。このことにより医療はもとより、社会全体を支える役割をも担ったわけです。 そんな大きな役割を担う人材を確保するために、国・市町村も、なんとか保育士不足を解消しようと、処遇改善で給与水準を上げることや、人員配置の見直しやICT導入等、保育現場での仕事の負担軽減といったさまざまな手立てを講じてきました。 保育士不足や待機児童問題だけでなく、日本全体の社会問題を解消するためには、保育教諭が保育施設で働くということは重要に大きな意味を持つことです。

家庭支援を行う役割

保育士は家庭支援員としての機能も果たします。 時代とともに、家庭環境の多様・複雑化が進み、人々の働き方や、共働き世帯の増加、核家族化などが進んでいます。現在の日本の家族構成は家庭内だけでの子育てが難しくなってきています。 父母以外の親類との関わりや、地域の人たちとのつながりが希薄になり、保育教諭が家庭支援を行う立場としての役割も求められています。特に共働きをしている家庭にとっては、自分たち以外に子どもを見てくれる人がいない状況におかれ、代わりに子どもを預かってくれる保育教諭は貴重な存在です。 家族の事情によって家庭内だけで子育てを行うことができない保護者は今後ますます増えていくことが予想できます。子どもを保育施設に預けることができる環境にあるということは、保護者が安心して仕事に取り組めることにつながります。そして、保育教諭はこれからも社会にとって今後ますます必要不可欠な存在となります。

○保育教諭が仕事で果たす役割とは?

保育教諭の仕事は、保護者が仕事で保育に欠ける間、子どもを預かることが仕事であるというイメージが世間一般論です。専門家と言われる方や、国会の議員の中にもそんな認識を持った方々もおられます。しかし、保育教諭の仕事は多岐にわたるニーズに応えるため、幅広い仕事をこなしていかなければなりません。

基本的な生活習慣の指導

保育教諭の仕事的な役割として求められるのは、子どもたちが基本的な生活習慣を身につけられる支援をすることです。 食事や排泄、着替え、手洗い、睡眠などを自分一人で行えるように援助・指導します。これらを家庭と園の両面から、または仕事などでなかなか育児のできない保護者に代わって指導し、何度も失敗を繰り返しながら、毎日習慣づけることで子どもたちにしっかりと身に付くようにサポートします。 つまり、保育士は生活についてのさまざまなことに関する指導員として機能しているといえるでしょう。

社会生活でのルールを伝える

こども園は、社会生活の中でのルールを教える場でもあります。 こども園で子ども達は初めて社会を体験します。あいさつや、順番を守ること、集団生活における友だちとの付き合い方など、さまざまなことを子どもたちが身につけられるよう援助・指導をします。 家庭とは違う環境での、先生や友だちと関わりの中で、一緒に遊ぶ楽しさ、助け合うことの大切さを味わい、時にはけんかをしながら次第に社会性を身につけていくのです。 他にも、交通ルールや公共の場でのマナーなども、社会生活のルールとしを伝えることも重要な役割といえるでしょう。

体力や知力の向上を助ける

子どもの体力と知力の向上をサポートするのも保育教諭の役割です。小さな子どもは、遊びからさまざまなことを学び身につけていきます。外で遊ぶことで手足の動かし方を覚えたり、出来ないことにチャレンジをしながら体力をつけていきます。お絵描きや制作を通してペンやハサミの使い方を覚えていきます。また、絵本や紙芝居の読み聞かせを通して感受性が育っていきます。製作や読み聞かせなどを通して、想像力や表現力を培うのも保育教諭の役目になります。 一つひとつの遊びを通して、子ども達の心身がより健やかに発達できるよう、さまざまな遊びを企画しながら、サポートしていくことが大切です。この時期の保育は、その後の成長に大きく影響を与えます。

親子のサポート

子どもと関わることだけではなく、保護者に寄り添い、それぞれの家庭環境を考慮して、子どもを含めた保護者もサポートするなど、家庭支援をすることも保育教諭の役割です。 体調面・精神面でも普段から子どもの小さな変化を気にかけたり、それを保護者に伝えることなどでコミュニケーションを十分に取り、信頼関係を築いていくことも大切な役割です。 全ての保護者は子育てに悩みを抱えています。「園ではこのようにしています。」とアドバイスしたり、連絡ノートでのやり取りをするなど、保護者の悩みに寄り添い、一緒に考えていくことが大切です。 また、これは利用している家庭だけではなく、子育てに関わる全ての家庭を対象に関わりを持たなければなりません。

外部の研修などに参加する

より質の高い保育が求められています。保育士の処遇改善が給与水準の底上げがされたことは、保育の質の向上に繋がっていきます。保育教諭に求められるニーズが多様化し、保育教諭も自己研鑽に励まなければなりません。 幅広いニーズに応えていくため、外部の研修に参加するなどしてスキルを磨いていくことが重要です。保育団体・民間団体が開催する研修や国や自治体が開催する『保育士等スキルアップ研修』などに積極的に参加する必要があります。

書類作成をする

保育教諭は、下記に挙げるような書類作成の仕事も必須です。日々の活動を記した書類は、その後の保育にしっかりと活きていくため、絶対に欠かせません。
  • 連絡ノート
  • 園だより
  • 給食だより
  • 保育日誌
  • 給食日誌
  • 職員会議の議事録
  • 避難訓練簿
  • 日案・週案・月案
  • 要録
  • 朝礼ノートなど

壁面・飾り付け、イベントを企画・準備・実行する

壁面制作を作ったり、季節やイベントに合わせて園内を飾り付け、子ども達が季節を感じ、楽しい雰囲気の中で生活できるようにするために大切なことです。またイベントを通して友だちと取り組む楽しさや大切さ、達成感・充実感を味わうことも重要です。入園式や進級式、遠足や運動会、お芋ほりや発表会、お正月飾り、卒園式といった締めくくりまで、イベントを企画、準備、実行します。 子ども達に多くの経験を通して大きな成長をさせてあげるための重要な役割です。

○保育士に求められる資質

保育教諭が子どもたちの保育をする際に求められる資質とはどのようなものでしょうか。

広い視野を持つこと

保育教諭の資質の一つに、広い視野を持つことが求められます。 保育士1人が見る子どもの人数は年齢ごとに異なります。最も多い場合で「4歳児以上30人に対して保育士1人」というクラスもあります。 4歳以上ともなると体力も付き、興味・好奇心もいっぱいで、常に走り回ったり、いろいろなことに挑戦したりします。年齢に限らず、目の前のことに取り組みつつも、子どもたちに危険が及ばないように常に周囲に気を配り、ものごとを広く見る視野が必要となります。 また、目に見えるものだけでなく、子どものちょっとした心情の変化や成長の機会も見逃してはいけません。子ども一人ひとりの健康状態を把握し、管理していくことも保育教諭の重要な役割です。子どもは体調の変化が激しい上に、自分の健康状態を上手く伝えられません。子ども達の声の調子、顔色、行動などを常に注意深く見て、健康状態を把握することが必要です。

子ども一人ひとりの発達を見据えた関わり

保育園に通う子どもたちは、0歳から6歳と年齢が幅広いので、保育教諭には子どもの年齢に合った関わり方が求められます。年齢だけでなく、子ども一人ひとりの成長段階に合わせた柔軟な関わり方が必要です。 保育教諭のスキルとして、知識と観察力、子どものこれからを見据えた関わり方など、スキルを磨いていくことも必要です。

責任感がある

保育教諭の仕事は、保護者から大切な子どもを預かって保育をすることです。 責任感を持って子どもたちに対して真剣に向き合い、子どもたちが安全に園で過ごし、大きなケガなく降園できるように手を尽くすことが最優先です。 責任感の強さは、保育教諭としてではなく、人間として求められる資質であると言えます。

また、こども園ではこんな役割も必要です。

子どもがより安全に健やかに生活するためには、地域の協力も必要となります。子どもたちに関心を持ち、かけがえのないものとしてかかわっていただくことで、地域とこども園との結びつきを強め、こども園の存在やその役割が認知され、子どもや保育について理解や親しみをもって見守ってもらい、時には一緒になって遊ぶことの出来る環境の整備と機会を多く作っていくことで、地域全体で子どもを育てる取組を推進することになります。そして、地域社会との双方向の積極的な交流や地域と密接な連携を図りながら、地域の教育・福祉ニーズに応じた特色や、豊かな自然・文化などの地域資源を活かし、全ての子どもたちを含めた子育てにかかわる人全てが、安心・安全に過ごし、豊かに生活することができるよう地域と連携した取組が必要です。地域の方が参加できるお祭りやバザーを企画したり、近隣施設を訪問するなど、地域との交流を深めておくことも重要な役割です。

保育教諭は人そして社会にとっていつまでも必要な存在です!

全世界でパンデミックとなった新型コロナウィルスの流行に端を発し、これまで以上に保育施設という存在が社会全体から認知され、必要とされました。医療従事者の活躍ばかりが報じられ、保育教諭たちの頑張りが霞んでしまうこともありましたが、医療従事者も子の親として働いています。それを支えたのはまぎれもなく保育施設でありそこで働く保育教諭たちです。新型コロナウィルスには医療従事者とともに保育教諭も立ち向かいました。保育教諭が果たす役割は、子どもの人生の土台となる時期を支え、保護者が働くことを後押しし、ひいては公共・医療・経済・流通・金融等、社会全体のサポートにつながっています。それだけ、役割と責任は重くのし掛かりますが、誇りを持って保育教諭としての仕事を楽しんでほしいと思います。

最後に!

保育士の離職の最多理由として人間関係が挙げられます。これは保育業界だけではなく、全ての仕事に言えることです。社会に出て働くということは、様々な人が職場で仕事をすることで成り立っているのですから、避けては通れない問題です。働きやすい、自分に合った職場を見つけることは難しいかもしれません。保育といっても一言では語れませんし、色々な取り組みをしながら、子どもたちの成長を願う施設が沢山あります。 だからこそ、色々な施設を見て頂きたいのです。100%自分の要望にあった施設が見つかることはないかもしれませんが、働きがいのある、働いてみたいと思う施設は必ずあるはずです。紹介や派遣業者に任せるのではなく、自分の足で探し出して欲しいと願います。 子どもたちとの関係は、卒園後も続いていきます。立派に成長した姿を見せに来てくれます。小中学校の職業体験などで保育の仕事を体験しに来てくれます。卒園後も子ども達の成長を見られることはこの上もない幸せです。少しばかりの時間ですが、子どもたちの人生のスタートに立ち会い、日々成長していく姿を近くで見られること、まっすぐな子ども達の笑顔や言葉に触れられること、子ども達と信頼関係を築き、たくさんの楽しい時間を一緒に過ごせること。これだけ誇りのある仕事に就けるのは資格を持っているあなただけなのです。その資格と誇りを他人任せにすること無く、自らの手で行使して頂く勇気を持って下さい。 私たちと一緒に子どもたちの成長を支えて行って下さい。

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